Fahrenheit -華氏- Ⅱ


「大変です!」


トイレに行ったと思った佐々木が思いのほか早く帰ってきて俺のデスクに手をつき勢い込んできた。


「何事?」


俺はちょうど午後のアポの書類をPCで整理していた最中だった。


「柏木さんと村木次長が楽しそうにお喋りしてたんです!喫煙ルームで!」


な……


「何だと!」


俺は思わず立ち上がった。


あの陰険め、とうとう瑠華を手込めに……いや、この言い方は違うな。瑠華が早々軽い餌でなびく女じゃないことを俺自身が一番知っている。


となると…


「く……まさかの薩長同盟か…」
(※薩長同盟:幕末、大きな力を持つ薩摩藩と長州藩は対立していました。坂本龍馬の提案で対立していた二つの藩が手を組み同盟を成立させたのは有名な話ですね♪)


俺が額に手を置き唸ると


「部長!今は20XXです!幕末に戻ってどうするんですか!」と佐々木に勢い込まれ


そーだった……


陰険村木め、一体何をして瑠華を懐柔させたんだ…


その技が知りたい!


……て、思ってる場合じゃない。


俺はすぐに席を立ち上がると、喫煙ルームに向かったが瑠華の姿はおろか村木の姿もなかった。


ま、まさかの二人で仲良くランチ!?


サー……


俺の頭から血の気が失せた。


いや、待て啓人、瑠華は度々マックスの浮気癖に悩んでいた女だ。妻子ある男に行くはずはない。それも親子程歳の離れた二人だ。


大丈夫…


じゃなーーーーーい!!