「最初は―――……そうですね…アメリカ帰りの生意気な小娘だと思っていましたが…」
「あなたからしたら私は小娘同然です。因みに生意気ともよく言われます」と言い返すと
「ははっ」と村木さんは渇いた笑い声をあげた。「敵いませんね、あなたには」と村木さんはぎこちなく笑う。
何が言いたいのだろう―――
あたしが探るように目を上げると
「私が言いたいのはただ一つ。あなたへの謝罪と、それから
娘ときちんと向き合う旨をお報せしたかったからです」
村木さんは口から煙を吐き出しながら呟くような小さな声で言った。
「やみくもに反対するのはやめて、娘の言い分もちゃんと聞こうか、と。
失敗……したのなら
そのときは
全力で娘を抱きしめてあげよう、と」
村木さんの言葉であたしは目をまばたいた。
「それでは、お嬢様のご結婚を認めると仰るのですか」
「まだ、ですよ。ひとまずは言い分を聞くだけです」
村木さんはきっぱりと訂正した。
「それでも、大きな一歩ですね」あたしは自然微笑みを浮かべていた。
「ええ、とても大きな
一歩です。
改めて言います。
私の背中を押してくれて、
ありがとうございました」
村木さんは深く腰を折り、きっちりとお辞儀をした。



