Fahrenheit -華氏- Ⅱ


俺は書類をペラペラと捲った。


オークション内容は瑠華が言った通り幅広く、造船、空機などの大型移動手段機のものや、アメリカの廃業、または移転した空きビル…これもまた大小様々で、立地条件や規模の大きさがこと細やかに記載されている。その他、全く新しいPCのシステム…所謂IT関係や、あ……高級外車ってのもある。


その種類はざっと50種類。意外と多いんだな。


そしてそれらのオークションに持ちかける日本の企業はその100倍。


た、確かにこれらのオークション…引き合いが成立したのなら、5%でも10%でもかなりの利益になる。ざっと計算してそれこそ何百臆だ。


「しかし、全てのオークションが成立するとは限りません。数を打てば当たる、と言う低い確率ですが、やらないよりはマシかと」


瑠華の淡々とした言葉に、俺はひたすら、うんうん頷くことしかできない。


確かに、数打ちゃ当たると言う確率だが、それでも結構な純利益を上げられる。


「部長が外回りをしている際、午後から私と佐々木さんとで分けて日本の企業に話を持ちかけよう、と。それなりに関係している企業なので少しは興味を持っていただけると思っています」


瑠華の言葉に、指名された佐々木は一瞬だけ自分を指さし、それでも慌てて


「はい!お手伝いします」と立ち上がった。


テレアポ(電話で手当たり次第、当たる)とか本来なら、そんな効率の悪いことやらせたくないが、


「本日の目標は三件、固めようかと思います」と瑠華が言い切り


三件!?


俺はまたも目を開いた。


オークション自体の物は下から何千万と上から何億とするのに。


「私は大きい案件に掛かります。佐々木さんは出来るだけやり易いものを」とまたも提案され、俺は頷くしかできなかった。


佐々木もぎこちないが、何とか頷く。


「柏木さんが三件なら、僕は一件……が、頑張ります!」


と拳を握る。こっちは若干頼りないが…まぁ“神流”の名前を出して、すぐ電話を切られると言うことはないだろう。


「話がまとまり次第稟議を作成いたしますので、部長の了承を得たいのですが」


と言われ、俺は再び頷くことしかできなかった。


「いいよ、むしろ助かる。お願いしていい?」と瑠華に書類を返すと


「ありがとうございます」瑠華は淡々と言ってそれを受け取った。


瑠華……


やっぱ怒ってる!