Fahrenheit -華氏- Ⅱ




「瑠華」




後ろを向いていた俺は顔だけを振り向かせて瑠華を見下ろし、俺の体に回っていた手の上にそっと手が重ねた。


「俺も言わせて?


俺はたぶんもっと、瑠華のこと



好き」




俺たちは雨のように降り注ぐシャワーの音の中、再び口づけを交わした。


―――




その後、二人で風呂に入り(流石にすぐ第二戦を交えるつもりもなかったから)お互いの髪や体を洗いっこしたり、他愛のない話で会話をして風呂を上がると、俺は例の如くすっかりのぼせていた。


こう言うときこそ、冷たいビールを一気飲みしたいが、瑠華を六本木に送っていかなきゃならない。とは言ってもさっきまで村木も交えて飲んでたから、酒が抜けるまで数時間かかる。


夜明けぐらいになりそうだから、これ以上は飲まないつもりでいたが。


同じくバスローブ姿の瑠華は「ビール飲みます?」と自然に聞いてきて


「や、ありがたい提案だけど」俺は瑠華を送っていくことを説明すると


瑠華はちょっと考えるように首を傾け、やがて決意したのだろうか、小さく頷き


「ご心配には及びません」


と、一言。


瑠華は寝室のクローゼットを開け、冬物のコートが掛けてある場所…コートで隠れてて分からなかったが、その下から何かを取り出した。


見覚えのない赤いエルメスのエナメル素材のスーツケース。


あれ??こんなんあったっけ?


と首を捻っていると、瑠華はそのスーツケースを開け


その中身を覗きこむと、瑠華の私服が少々と使い切りタイプのアメニティグッズや化粧品が入っていて…


「え!?」


思わず目をまばたくと


「こないだお邪魔したとき、こっそり隠しておいたのです。こうゆうこともあろうか、と」


瑠華は相変わらずの無表情で答えた。


こっそり……


うん、全然気づかなかったよ。


さっすが!ぬかりないな!!