「お互い……意外に覚えてるもんだな」
何でもないフリを装って聞くと
「ええ。だってこの映画、あたしたちの両親が好きで鑑賞会で何度も流していましたから」
確かに、瑠華の言った通り俺たち両親はこの映画が好きで何度も上演していた。それこそ子供の俺たちが暗唱できるまでになるほど飽きることなく。
子供だったから英語なんて理解できず、母親に訳を聞いた。
雨が降っていても僕の心は晴れやかだ。君と言う存在を思うと楽しくなれる。
『雨の中で歌って何が楽しいんだろうね』と、当時からドライだった(苦笑)瑠華が俺の母親の話を聞いて俺にこそっと耳打ちしてきた。
『雨が降っていても楽しいのが“恋”なんだよ、きっと』
と、返したっけね。そのときの俺は“恋”の何たるかななんて一匙も分かっていなかったのに。
今はスプーン一匙の雨ですら、この恋心に降り注いでほしくない。
と、ぼんやりと考えていると唐突に
降りしきる雨のようなシャワーの中、俺の腰に回していた腕を胸元まで這わせてやがて腕の付け根の辺りでしっかりと抱きしめ、抱き寄せられる形になった俺は、きっと背伸びしてるんだろうな……瑠華に耳元でそっと囁かれた。
What a glorious feelin'(なんて晴れやかな気分)
And I'm ready for love.(恋の準備はできている)



