Fahrenheit -華氏- Ⅱ



「損な性格ですね、村木部長は」


俺が目を伏せたまま焼酎のロックに口を付けると




「こうゆう性分なので、恨まれるのは今に始まったことないですよ。慣れています」




村木はあっさり言った。


それから瑠華が戻ってきて、二杯程飲むと何となくお開きムードになった。


話も一方通行だったし。どちらかが折れる、と言うことができない二人だからな。


ここで答えは出ない、と踏んだのだろう。


店を出て大通りに向かうと俺たちと村木はそれぞれタクシーを拾い、そこで完全に別れた。


タクシーに乗り込み「すみません、六本木まで」と言うと「すみません、高輪にしてください」と瑠華が訂正し、


え?


と思っていると


「今日、そちらに伺っても宜しいですか?」


と。


何と!!


もちろん「Yes」と言いたいが……


俺、今朝起き抜けのままだったような……しかもここ数日まともに掃除らしい掃除してねー!!


「いや!今日は瑠華の…六本木にしよ…?」


と俺の挙動不審をどう勘違いしたのか、じっと瑠華が疑いのまなこ。


「何故です?何故私をあなたの家に入れてくれないのです?」


まさか女が……?とは口には出さなかったけど、疑われてるのは分かる。


「えっと、その……」


どんな言い訳してもきっと…いや絶対?疑われるのは間違いないし。


「ちょーーーーっとばかり散らかってるけどいいデスか?」と目だけを上げると


「大丈夫です」と瑠華はあっさり。


と言うわけで高輪にある俺のマンションに来たわけだけど、部屋を開けて恐る恐る…と言った具合で彼女を促すと


「カオス……


泥棒……いいえ強盗にでも入られました?」


瑠華は目を開いて、まるで小鳥のように目をぱちぱち。


Noーーーー!!!


だから嫌だったんだよぉ。