Fahrenheit -華氏- Ⅱ


だが考えたら全て辻褄が合う、と言うか今になって昨日の村木の謎の発言の意味が分かった。


付き合ってる女の有無や好きなタイプとか……聞かれたっけネ…


あれは自分の娘にお見合いさせるつもりで聞いてきたんか。


……ちょっと待て、ややこしくなってきた。


俺も村木に倣いタバコを取り出すと、ちょうど瑠華もバッグからシガレットケースを取り出すところだった。


お互い「タバコでも吸ってないとやってらんねー」って感じだよな。


一口吸い込んで肺に溜まった煙を吐き出すと同時にため息が漏れた。


「てかあんた……緑川派だったんじゃないスか…?


俺とつるんでたら約束された椅子がパァすよ。


寝返ったンすか?」


と思わず半分素で聞いちまったが村木は特別気を悪くした様でもなく、同じように煙を吐きながら


「は?」と間抜けに聞いてきた。


「社内にある神流派と緑川派の派閥です。ご存じですよね」と瑠華が説明を添えてビールグラスに口を付ける。


「……ああ」と村木はけだるそうに答え、まるで興味がない様子だ。


「私はどちらにも属していませんよ」とそっけない答えが返ってきて





「くだらない」





と、まるで吐き捨てるように言った言葉に俺は目を開いた。