Fahrenheit -華氏- Ⅱ




すぐにタンブラーグラスに入った生ビールが手元に運ばれてきて、


こ、この後どーすりゃいいんだ!!


俺は瑠華と乾杯したいけど村木とはしたくねー!


てか例え、するとしても何に!?


と一人悶々としていると


「「お疲れ様です」」と両脇から声が聞こえてきて、それはそれは自然に俺のグラスにコツン。


認めたくないけど……村木…瑠華と息ピッタリだな。


乾杯をした後、ちょっとの間沈黙が流れた。


な、何か言わないと……と、とりあえず後を尾けたことを謝るべきだよな…


「あのっ…!」


と言う俺の呼びかけは


「お嬢様のこと認めて差し上げたらいかがですか?」と瑠華の声にかき消された。


説明するまでもなく俺を通り越して村木に掛けられた言葉だと分かるが、


村木はしばらく掌で包むように持っていたグラスに視線を落とし、やがてスーツポケットの中からタバコの箱を取り出した。苛立ったようにせっかちにそれに火を灯すと


「柏木補佐、さっきも言いましたけれど、うちのことに首を突っ込まないでいただきたい。


だいたいあなたがうちの何を知っていると言うのですか」


村木がちょっと鼻で笑い、その対応が


む、ムカつくーーー!!!!


その上から目線!でぇっきらい(大っ嫌い)なんだよ!!


大体俺らは巻き込まれた(?)だけなんだよ!


けれど俺の怒りなんて塵も同然。瑠華はそれに関しては何も思わなかったのか相変わらずの淡々とした口調で


「深くは存じ上げておりません。ですがお嬢様はあなたがお見合いをさせようとしている、とおっしゃってました。


さらにはお相手がそこそこ地位のある方で、しかもお嬢様よりまだ年若いことも窺いました。


それって―――……」


瑠華が含みのある視線を俺に向けてきて、


は……?


俺は目を点。


そろりと村木を見ると村木の方も否定するつもりはないのか、無言でビールに口を付け


いや


いやいやいやいや





勘弁してよ!!!!!