女性は声を荒げ、一言一言吐き出す度に顔色が一つ、また一つ……と段階を上げて赤くなって行く感じがしてあたしは思わず慌てて彼女の両肩をそっと抱いた。
「落ち着いて……
それにしても地位が安定するから、と言うお言葉ですが、その紹介したい男性はあなたのお父様より地位が上なのですか。だったら相当年齢がいっていておかしくないですよね」
雲行きが怪しくなってきた。父親は愛情深い良き父ではなく、彼女を政略結婚の道具にしようとしているのか…
「それは違うみたいよ。私より若いみたい。でも、顔も知らないそんな男と見合いなんてしたくないし。って言うか私はお金は無いけど画家志望の彼氏と結婚したいのよ。
…って、思わずやけ酒しちゃった……バカみたい。私お酒強くないのに……無理して飲んで」
女性は自嘲じみて笑い、その引きつった笑みから語られるのはくぐもった声での軽いいきさつだった。
「それは大変ですね……私も……一度結婚しているのですが、やはり父に彼を紹介するときは緊張しました。あなたと同様、やはり反対されて」
と説明をすると
「結婚を?じゃぁお父さんを説得できたの?どうやって」と聞かれて
「私の場合、結婚した相手が名のある財閥の子息だったので、分不相応だと。代々受け継がれている立派な家系の家だったので、箱入りで育った世間知らずの私が嫁ぐのは無理だと」
「それもそれでお気の毒ね」
と女性は眉を下げ
はぁ
と小さく吐息をつき
「私たち……私とあなた。まるでロミオとジュリエットみたいに苦労してるのね」と苦笑い。
ロミオとジュリエット――――……か。



