何もかも忘れたかった。


瑠華の過去―――


ヴァレンタインと会っていたんじゃないか、という不安。


11日の約束。





そして俺の過去―――


真咲の出現。






目まぐるしく回る不安と、得たいの知れない恐怖が迫っていることを―――



いっとき


忘れたかった。





でも


忘れることなんてできない。







熱に浮かされるように恋に溺れ、


体外から出される欲望の果てのように





すべてを追い出したかった。