夏の鈴





『あつし、やっぱりここに居たのね。』

ギシッと廊下が軋む音がして、振り返ると喪服姿のおふくろが立っていた


『そろそろ始まる時間だから、公民館に行くわよ』

おふくろの言葉に俺は目線を落とし、もう一度夕焼けに染まった庭を見た


『………おふくろ、俺……親父の肩揉んであげられたんだよね?』

震えた声で問いかけた

おふくろは無言で俺の横に移動してきた


『……俺、親父とジョギング出来たよね?キャッチボールも花火も庭の手入れも一緒に出来たよね?』

あの日々が夢ではなかったと確かめながら、涙が止まらない


そんな俺を見たおふくろはそっと俺の肩に手を置いた



『………俺…ちゃんと親父の最後に側に居てあげられた?』


タイムリープする前は親父の死に際に会えず、その事実を知ったのもそれから数時間後だった



『何言ってるの?
あつしは最後の最後までお父さんの手を握っていたじゃない』


その言葉を聞いて、俺は声を出して泣いた


タイムリープした事で過去は変わった

俺はちゃんと親父の最後も見れて、しっかり側に居てあげる事が出来た