夏の鈴




高校生になると、さすがに親もそこまで俺に干渉しなかった

最も何か言われても反抗出来る歳になってた

門限もルールも相変わらずあったけど、一度破ったら俺の中で何かが弾けた


嫌なら守らなければいいんだという簡単な答え

おふくろの説教だって聞き流せばいい事だし、


友達の話を聞くと、皆絶対に親父が怖いと言う

厳格な所は殴られたり、怒鳴られたりするらしい


俺にとって親父は怖い存在ではなかった

怒るのはいつだっておふくろで、おふくろの事だって怖いとは思った事がない

うるさいババァとは思ってたけど


“あつし、後悔だけはするなよ”

親父が言う事と言えばいつもこれ

多分、自分がした行動に責任を持てって意味だと思うけど

俺はその言葉さえ聞き流していた


親父との思い出は随分昔で、思えば最近の思い出なんてなかったと思う

最後に話した会話さえ覚えていない

だって夏休みの間、一回も家に帰ってなかったんだから当たり前だ


誰かが死ぬ事は初めてじゃない

じいちゃんとばあちゃん、近所の人に遠い親戚

お通夜も葬儀も何回も行った事がある


父親が死ぬのと、遠い親戚が死ぬのでは状況が全く違うけど

悲しみが沸いてこないのだからどうしようもない