プ リ ン ス

遠く方に人影が……




「抜け駆けなんてさせないんだから……。」




女は、根本加奈を撮ったカメラを握った……。





――――…
――――――…




レースのカーテンが風にあたってゆらゆら揺れている。




少し肌寒くなり、緑は少し赤く色づいてきた。




ストールを羽織り、椅子に腰掛ける。




俺は要の煎れてくれた紅茶を口にし、小さなベリータルトを一口食べた。




カサブランカの香りを楽しみながら、アフタヌーンティーを優雅に過ごす。




今日は土曜日で、学校は休みだ。




もうすぐあの子がやってくると思うのだが……。




―ピーンポーン




きたみたいだ。




要が玄関へ行き、鍵を開けた瞬間




「羽藍ーーッ!!」




声の高い詩音が玄関から叫んでる。




詩音はすぐにリビングへやってきた。




「久しぶりーッ」


詩音は羽藍にガバッと抱き着き、頬ずりした。




『久しぶり……詩音。』


詩音とはたまにメールするくらいで、会うのは1ヶ月ぶりだ。




元気そうでなによりだ。




「もうーッ羽藍が聖女にいないせいで、みんな元気無いんだよぉッ」


『へー』


「“へー”じゃないよぉッ!!いつも生徒から羽藍の事聞かれて困ってるんだからぁッ」




それは…ごめんね。
知らず知らずのうちに詩音に迷惑をかけていたみたい。




『その他に変わった事はある?』


「あぁー……白鳳の生徒会が来たよー。」




白鳳とは聖女と肩を並べる程のお金持ち学校で、隣県にある『白鳳学院』という男子高だ。





『そう。なんか言ってた?』