“また紅月狼が出た”




校内では昨日の繁華街での出来事が噂になっていた。




クラス内でも




「紅月狼様に会いた~い。」

「超カッコイイんだってねぇ」

「私も助けられたいなぁ」


女子からそんな声が聞こえる。




「なーなー」


『……。』


「紅月狼の情報なんか知らないか?」


『知らない。』


知りたければ満月の日に繁華街へ行けばいいじゃないか。




「うちのチームで、2人も助けられたから、お礼言いたいって海吏さんが言ってたんだよねー」


『……。』




お礼なんて……
そんなのいらないよ。


自己満足にすぎないのだから。


喧嘩なんて初めて間もないけど……心に溜まっていたものがスッキリするんだ。


だから……お礼なんていらない……。




「にしてもさー、お前今度青龍100人を相手にするんだぞ?そんな事してて大丈夫なのか?」




そんなことというのは、俺が読書していること。




そういえば…




『今度っていつ?』


「あっ、言ってなかったっけ?」


『言ってない。』


「1週間後の放課後だよ~」


『そう。』


「“そう。”って!!
なに余裕な顔してるの藍ちゃんッ!!」


ギロッ


「ヒイッ!!」




藍ちゃんって言うなって何度言ったらわかるんだ。
こいつはバカの中のバカの中のバカだ。




『……。』


「藍知らないと思うけどさ~、青龍のみんな強いよ?特に上層部なんて神に近いんだからね!!
まぁ俺も強いけどさ~
きゃっ☆言っちゃった♪
俺時期幹部候補だからね~♪
俺の鍛えられた肉体を見よッ!!毎日腹筋、腕立て、背筋、スクワットを500回ずつやってるんだッ!!すごいだろッ
にしてもお前喧嘩できたんだな~、海吏さんが指導係に選ぶなんて相当なんだぞ!!まっ、俺も負けてないけどね~♪
なんたって時期幹部こう―」


『うるさい。』


「はい。すみません。」


俺が殺気を込めて桜井を睨むと、桜井は大人しくなり俺に土下座した。