感慨深いとか、そういったものはないけれど、思うことはある。
特に多江さんのこと。
イェマント氏病は世界でも珍しい病気だという。
だとしたら有効な治療法はないはずだ。
となると、多江さんはずっとこの病院で過ごすのだろうか。
あたしが退院した後も。
そう考えたら、妙に切なくなってきた。
「会いに行こうかな」
退院が決まったと、報告しよう。
あたしは松葉杖を手にとった。
―――――――――――
屋上へ行けば会える。
なんて確信はなかったけど、やっぱり最初は屋上へ足を向けてしまう。
はたして屋上のドアを開けると、そこには多江さんがいた。
こりゃもう運命だね。
ピンク色のワンピース姿の多江さんは、いつものように携帯を手にしていた。
その視線は携帯に…落としていなかった。
「?」
不思議に思った。
多江さんと言えば常に携帯に目を落としている女性(ひと)。
ここ数日でそんなイメージが出来ていたからだ。
特に多江さんのこと。
イェマント氏病は世界でも珍しい病気だという。
だとしたら有効な治療法はないはずだ。
となると、多江さんはずっとこの病院で過ごすのだろうか。
あたしが退院した後も。
そう考えたら、妙に切なくなってきた。
「会いに行こうかな」
退院が決まったと、報告しよう。
あたしは松葉杖を手にとった。
―――――――――――
屋上へ行けば会える。
なんて確信はなかったけど、やっぱり最初は屋上へ足を向けてしまう。
はたして屋上のドアを開けると、そこには多江さんがいた。
こりゃもう運命だね。
ピンク色のワンピース姿の多江さんは、いつものように携帯を手にしていた。
その視線は携帯に…落としていなかった。
「?」
不思議に思った。
多江さんと言えば常に携帯に目を落としている女性(ひと)。
ここ数日でそんなイメージが出来ていたからだ。