「和夫さんのことが心配なのよ」
多江さんは携帯に目を落としたまま言った。
「あ…」
不意に多江さんがあたしを見た。
「内緒ね、旭さん」
多江さんが携帯を示しながら言う。
病室での携帯の使用は原則禁止。
だから内緒にしてくれと言っているのだろう。
いつもなら屋上に行くだろうに、今日は雨だからね。
「旭さんはどうして怪我をしたんですか」
和夫さんがあたしに話かけてきた。
あたしは先日、多江さんに伝えた内容を繰り返した。
「猫を助けたんですか。恰好いいですね」
和夫さんは眼鏡の奥で目を細めた。
んー、ホメてくれてるんだろうけど、おかげでこの松葉杖姿だからなぁ。
「返事、送ったわよ」
多江さんが言った。
「授業はきちんと出てますって伝えておいたわ」
「余計な事は書いてないだろうね」
「大丈夫よ」
多江さんと和夫さんとの笑顔のやり取りの中で、あたしはふと気付いたことがあった。
多江さんは携帯に目を落としたまま言った。
「あ…」
不意に多江さんがあたしを見た。
「内緒ね、旭さん」
多江さんが携帯を示しながら言う。
病室での携帯の使用は原則禁止。
だから内緒にしてくれと言っているのだろう。
いつもなら屋上に行くだろうに、今日は雨だからね。
「旭さんはどうして怪我をしたんですか」
和夫さんがあたしに話かけてきた。
あたしは先日、多江さんに伝えた内容を繰り返した。
「猫を助けたんですか。恰好いいですね」
和夫さんは眼鏡の奥で目を細めた。
んー、ホメてくれてるんだろうけど、おかげでこの松葉杖姿だからなぁ。
「返事、送ったわよ」
多江さんが言った。
「授業はきちんと出てますって伝えておいたわ」
「余計な事は書いてないだろうね」
「大丈夫よ」
多江さんと和夫さんとの笑顔のやり取りの中で、あたしはふと気付いたことがあった。


