唯一残された場所が屋上というワケだ。
病院は五階建て。
だがあたしの病室は五階だったので、松葉杖でも屋上には苦もなく上がれた。
己の運動神経と体力に感謝って感じだね。
(入院してるけどさ)
松葉杖に体を預けながら屋上のドアを開ける。
時刻は午後六時を過ぎていたが、この時期、屋上はまだ明るかった。
屋上の一画にはベンチがひとつ。
そこに一人の女性が座っていた。
長い黒髪に白い肌。
小さな鼻と唇が頼りなさげな印象を与えている。
年齢は二十歳ぐらい。
よく美人の例えで出てくる深窓の令嬢っていうのは、こういう女性のことを言うのだろうか。
あたしがその横顔に見とれていると、美女はあたしの存在に気づいて、あらっという顔をした。
「どうぞ」
美女は腰を浮かせると、あたしの分のスペースを空けた。
あたしはその行為に甘えるように隣に座る。
彼氏との会話を聞かれたくなくて屋上に来たというのに、人の隣に座ってどーすんだ。
病院は五階建て。
だがあたしの病室は五階だったので、松葉杖でも屋上には苦もなく上がれた。
己の運動神経と体力に感謝って感じだね。
(入院してるけどさ)
松葉杖に体を預けながら屋上のドアを開ける。
時刻は午後六時を過ぎていたが、この時期、屋上はまだ明るかった。
屋上の一画にはベンチがひとつ。
そこに一人の女性が座っていた。
長い黒髪に白い肌。
小さな鼻と唇が頼りなさげな印象を与えている。
年齢は二十歳ぐらい。
よく美人の例えで出てくる深窓の令嬢っていうのは、こういう女性のことを言うのだろうか。
あたしがその横顔に見とれていると、美女はあたしの存在に気づいて、あらっという顔をした。
「どうぞ」
美女は腰を浮かせると、あたしの分のスペースを空けた。
あたしはその行為に甘えるように隣に座る。
彼氏との会話を聞かれたくなくて屋上に来たというのに、人の隣に座ってどーすんだ。


