「でもこのままじゃいけないと思ったんだ!」
和夫さんの叫びに嗚咽が混じる。
「多江さんは目の前にいるのに、最初から兄さんに負けた気でいるなんて、いけないと思ったんだ…」
え。
それって…。
和夫さんの言葉には聞き覚えがあった。
胸の動悸が早くなる。
「だから僕は、多江さんに真実を告げた」
「それで、多江さんは何と?」
達郎兄ちゃんが訊いた。
「最初、多江さんは何も言わなかった」
その沈黙は無限のように思えたと、和夫さんは語った。
いたたまれなくなってその場を去ろうとした時、ようやく多江さんが口を開いた。
『ごめんね』
多江さんは静かにそうつぶやいたきり、何も言わなくなった。
再び訪れた沈黙に耐え切れなくなった和夫さんは、そのまま病室を飛び出した。
「そして次の日、多江さんは…きっと兄さんがいないことが…」
「隆夫さんがこの世にもあの世にも存在しないことを知って、絶望したのね…」
和夫さんの叫びに嗚咽が混じる。
「多江さんは目の前にいるのに、最初から兄さんに負けた気でいるなんて、いけないと思ったんだ…」
え。
それって…。
和夫さんの言葉には聞き覚えがあった。
胸の動悸が早くなる。
「だから僕は、多江さんに真実を告げた」
「それで、多江さんは何と?」
達郎兄ちゃんが訊いた。
「最初、多江さんは何も言わなかった」
その沈黙は無限のように思えたと、和夫さんは語った。
いたたまれなくなってその場を去ろうとした時、ようやく多江さんが口を開いた。
『ごめんね』
多江さんは静かにそうつぶやいたきり、何も言わなくなった。
再び訪れた沈黙に耐え切れなくなった和夫さんは、そのまま病室を飛び出した。
「そして次の日、多江さんは…きっと兄さんがいないことが…」
「隆夫さんがこの世にもあの世にも存在しないことを知って、絶望したのね…」


