「意思は強く持たなきゃ。 すぐ、イっちゃうよ?」 「何が?」 「あ、た、ま」 手で拳銃の形をつくった明日香は〝あたま〟のリズムに合わせて、こめかみを三回ノックした。 頭が、イっちゃう……? ……なら。あたしの頭は彼が亡くなった瞬間からイっちゃってるのかも。 「明日香は面白いね」 「そ?…嬉しいよ」 「うん、そうゆうとこ」 嬉しくもないのに、嬉しいとか、悪戯っ子のような笑顔で言うところとか。 あたしには無い。 あたしには出来ない。 ……ちょっぴり、羨ましい。