温かい記憶。 ……幸せな、記憶。 「おい」 「は…はい?」 珍しい。 先輩から話しかけてくるなんて。 でも、彼は一向に話し出さない。 「先輩……?」 「………何で来ねぇわけ?」 「え? …どこにです?」 「だからぁ」 ハァーと、イライラしたように先輩が大きなため息を吐き出した。 え……なんで……? 「…………」 あ…… えっと、もしかして…… 「先輩、歌を聴きに来いって…言ってるんですか……?」