【ほのB】リトル・プリンス

 
 僕の向かった先。

 祭り会場のステージは、丁度。

 午前の部とは、裏方と出演者が入れ替わった、午後部の発表、一発目の最中だった。

 どっちも、顔見知りのご近所さんに軽く頭を下げて。

 こっそり舞台のソデから、客席を透かし見れば。

 思わず、喉の奥で、ぐるる、と唸り声が出る。

 だって。

 祭りのトリならともかく。

 こんな昼直後の、発表時間なんて。

 本来なら、出演者の家族や、知り合いしか見に来ることもなく。

 閑散としているはずの席は、八割ほど埋まり……

 その席を占めているヒトビトの半分以上は、およそ、こんな。

 田舎の街の、発表会なんて、縁がないはずのヒトビトだったから。

 小さな、とはいえ、祭りの端くれ。

 祭りには、つき物の屋台を切り盛りするために。

 街の住人じゃなく、サラリーマンには見えないよそ者の『的屋』ってヤツは、うろうろしてたけれど。

 ここに座っているヤツらは違う。

 明らかに、暴力団員。

 普段は、事務所の奥で、ふんぞり返っているようなレベルのヤツらばっかりだった。

 しかも……

 その中に、昔の顔見知りを何人か、発見して、げっ、とクビをすくめた時だった。

 僕の後ろから、のんきな声が、かかった。

「よ。雪の王子サマ。
 誰か、知り合いでも居たか?」

「ゆっ……!?」

 誰が『雪の王子』だって!?

 目の前の光景と、突然掛けられた言葉に、つんのめりそうになって、振り返れば、そこに。

 案の定の、男が立っていた。

「トシキ!
 これは、何の真似だよっ!」

 現在進行中の舞台を邪魔しないように、僕が鋭く囁けば。

 トシキの野郎は、飄々と肩をすくめて、いいやがった。

「オレは、別に。
 何もしてねぇぜ?」

「ウソをつけ!」