「…そうか。蓮樹、それでいいか?」 龍雅は蓮樹に尋ねた。 「……はい。里の者全員の命がかかっているならば。…そのように」 「蓮樹様…」 毅然(キゼン)にも涙を拭い、龍雅の顔を見た蓮樹を見て、輝耀は目頭を押さえた。 「旺輝。風戸の当主が戻り次第ここへ呼んでくれ」 「分かりました」 空には暗雲が立ち込めてきていた。