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「じゃあ……練習頑張ってね!」


−あぁ、人前に出ても恥ずかしくない程度にな。……色々ありがと。じゃあ、またな。次に会うのはコンサートの日だ。


「うん!またね!」


ふぅ……良かったァ……。これがハルトの進むべき道なんだよねっ!うんうん!良かった!コンサートかぁ……楽しみ!


「たっだいまぁ!」


「おかえり。何かやけに元気いいわね。いい事あったんでしょ?」


「ふふ〜ん。まぁね!……ねぇねぇ、このチケット、何て書いてある?」


「あら、クラシックのチケット?……これ、あなたが前に話してた人の?」


「うん。オーケストラに復帰するんだって!」


「あら〜、良かったじゃない!」


「おっ?何か楽しそうだな。父さんにも見せてみろ。どれどれ……NH……おいおい!これ有名な交響楽団だぞ!」


「へぇ……やっぱり上手いのかな?」


聞いたところで私にはわからないんだろうけど。


「まぁ、父さんもクラシック聞くから解る方だけど、日本じゃ1番だろうな」


「え……えぇっ?!」


そんなにすごい人なんだ……そりゃ素人の私でも聞き惚れちゃうわけだね……。


「ふ〜ん、三部構成なのか……第二部のタイトルがなかなかいいなぁ……」


「どんなタイトル?」


「"良く晴れた日は、大きな樹の下で"だってさ」


……そのタイトルを聞いただけで、広い草原に立つ大きな樹が私の頭の中に見えた……。


そのコンサートは、私の人生の中で、とても大事な、忘れられない思い出になるんだろうな……。