この小さな黒猫が……、助けてくれた。 おかげで生き残れた、と言っても過言ではないだろう。 たとえ、その後すぐに、新撰組一番組組長である、沖田総司が来たとしても。 「…傷は、痛むか。」 土方が眉をひそめながら、楓に問う。 心配してくれているのだろうか。 「いえ、それほどは。」 こう答えたが、実際は鈍く、しかし強い痛みで吐き気がする。 傷が熱を持っているのがありありと分かる。