紐の両端をグッと引っ張り、
「うん、よし。」
これで見た目は幕末の人と同じだ。
そして、もう一人の男の持ち物から、脇差しだけをとる。
「刀は武士の命っていうから……脇差しだけ貰っていくよ。ナンパしたのはコレでチャラね?」
そう言って、楓は歩き出す。
脇差しを腰にさして。
薄暗かった道は、もう真っ暗になっていて、その道を一歩一歩進んでいき、闇に紛れて見えなくなった。
「……ミャー。」
そして、一匹の黒猫が、ひっそりとそれを見ていた。
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