処刑の日。
多くの見物人が現れる。
アリスは、その人ごみにまぎれ、処刑台を見上げる。


女王が磔にされていた。


「最期に言い残したことはあるか?」

そう、エリックが問いかける。
磔にされた女王は、薄く笑った。


「後悔はしていない。
 何度生まれ変わろうと……

 私はこの道を選ぶ」


その言葉は、アリスに向けられたもの。
最期に聞いた、父の言葉。


それから、火がつけられた。
火あぶりにされる女王。

彼女は、声を出さなかった。
悲鳴を出さなかった。

地声が出ないように、必死に声をこらえていた。

最期まで、彼は女王を演じ続けた。



そして、最後に首が切り落とされる。
その首をエリックがつかみ、掲げる。


もう見ていられなかった。
アリスは逃げるようにその場を去って行った。



その後のアリスの行方は、誰も知らない。