そして、彼女は……アリスは逃げた。
城の隠し通路を使い、城から逃げた。


その翌日、女王は反乱軍の手によって捕まった。
髪を切り落とし、町娘に扮しようとしたところを捕まえたと知らされる。



逃げるアリスの頬に涙が伝う。
彼は、自分を逃がすために捕まった。

彼女が女王として犯した罪をすべてかぶって。


「馬鹿……っ」


小さくつぶやく。



最後、彼は笑っていた。
何か最後にできることはないかと聞いた。
その時、彼は言った。


「最後に一度だけ……

 
    『父さん』と呼んでくれ」



そう言って彼は笑った。
泣きながら彼女は呼んだ。

父さん、父さんと、何度も何度も


彼は嬉しそうにまた笑って彼女を抱きしめた。



そんな彼が、
女王として処刑されることが決まった。