前日、レックスは戻ってきた。
反乱が来て城中が混乱し、多くの家臣たちが逃げ出した時、
レックスは姿を消していた。
それからほどなくしてレックスは城に戻ってきた。
フードをかぶり、顔を隠しながら、何か大きなものを引きずっている。
「レックス……?」
声をかけると、フードをかぶったレックスが振り返る。
その顔は仮面で隠されている。
「そこで待っていてください。すぐに戻ります」
それだけを言って、また大きなものをずるずる引きずる。
待っておけと言われても、ただ待つことなんてできなかった。
彼は一体何を引きずっているのだろう。
そして彼はどうして顔を隠しているのか。
彼は自分の部屋に戻った。
そして、引きずっていたものの袋をといた。
「っ!」
声にならない悲鳴がフランチェスカの口からもれる。
その声にすぐにレックスは反応した。
「……見られちゃいましたか」
大きな袋の中には、人が入っていた。
正確にいえば、死体。顔を醜く焼きつぶされてだれかも判別付かない死体。
服装は、レックスが来ているものと同じ。
「どういうこと……?」
「この男は、レックスです」
仮面越しに語る。
その仮面の奥から聞こえるのは紛れもなく彼の声だ。
しかし、彼の服を着た顔を潰された死体が目の前にある。
その死体は椅子に座らされた。
「レックスは、ここで死んだ」
「……どういう意味?」
「これが俺の最期の仕事だよ……」
やさしいレックスの声が聞こえる。
そして、彼は仮面とフードを取った。
「……っ!」