魔女と呼ばれた娘



まだ城はその事に気付いていない。
そのままレックスは血まみれの格好で城内を歩く。

次に向かったのは王妃の私室。


「レックスです」

「入って」


レックスだと思って油断しきっている王妃は簡単に招き入れる。
そして戸をあける。


目の前には血まみれのレックス。
あまりの事に悲鳴もなにも出てこず、声がつまる。


「れ、レックス! どういう事!?」

「人を呼んでも無駄ですよ。彼らは全員寝返りましたから」

張ったりである。
そして彼女は驚愕のまま表情を固めている。

「その血は一体……!?」

「あの世で会えますよ」

ゆっくりと歩み寄るレックス。
逃げ惑う王妃。


「いや、やめて……助けて……っ」

命乞いを始めるが、レックスは笑ったままだ。
装飾の剣を手にとり、王妃の頬に刃先を当てる。

「苦しまずに、死なせてあげます」

「いやぁああああっ!」


悲鳴。
剣は王妃の胸を貫いた。


「……後は、マリア」

そう呟いた時、部屋の戸が開いた。
振り返れば、そこにはマリアが立っていた。


「レックス!?」

「ああ、会いに行く手間が省けました」

にやりとレックスは笑う。