「陛下、エリック様より文書が届いております」


あるときに女王の下に婚約者から手紙が届いた。
喜びを隠しきれない女王はその手紙を手に取った。



ほどなくして、彼女は泣きじゃくり、部屋に閉じこもった。
捨てられた手紙を執事が拾う。


そしてそれを読む。


『フランチェスカ様
 婚約の話はなかった事にしていただきます。
 私は真に愛する女性を見つけました。
 戦争を止めるために決めた婚約ですが、彼女と共に一生を過ごしたいのです。
 勝手な話ですが、ご容赦ください』


ぐしゃりと手紙を握りつぶす。
婚約は破棄された。

まだ、女王が18歳の時だった。



広まるその知らせは、国中を震撼させた。
戦争を止めるために交わされたこの婚約。

それが破られた今、再び戦争が巻き起こる。
それを国民たちは恐れていた。



三日三晩泣きくれた女王。
そして彼女が自室から出た時、執事に命じた。


「エリック様の思い人を見つけ出しなさい」

嫉妬に燃えた女王はもはや誰の制止も聞かなかった。


ゆっくりと、国が滅亡へと動いていく。