家臣たちは彼女に戦争をするように囁きかける。
婚約破棄の怒りにとらわれた彼女を操るように何度も何度も。
しかし、それをレックスは許さず、何度も家臣たちを彼女から遠ざけた。
すでにその時からレックスは家臣たちより警戒されている。
フランチェスカをそそのかす人間がこの城には溢れている。
彼女を守れるのはレックス一人しかいなかった。
何度も彼女に大丈夫だと囁く。
彼女をなだめながらも、心中は怒り。
なぜ婚約を破棄したのか。
今すぐにでも国にいき、会って撤回させたい。どんな手段を使っても。
エリックはフランチェスカを傷つけた。
そして婚約破棄の知らせは国中に広まった。
詳細な理由は明かされていないが、フレイル国から強引に破棄されたという事を強調して国中に伝えられた。
また始まる戦争に怯える国民たち。
戦争を起こそうと女王をそそのかし続ける家臣。
彼女の味方はレックスしかいなかった。
そして彼女は、レックスを呼び出す。
「エリックさまの恋人を見つけてきて」
その声は感情を封じ込めた無機質な声。
あまりに大きなショックで、彼女はしばらく表情を捨てた。
そんな彼女を見ているのが痛々しい。
彼女が望むのであればそれを叶えてあげたい。
すぐにレックスは城を発った。



