魔女と呼ばれた娘



平和のための結婚。

それを認めていない人間もいた。
ノワール王国で、女王フランチェスカの陰に隠れて甘い汁を吸っていた家臣たちだ。

この婚約がある限り、もうフレイル国を攻めることはできない。
なにか戦争を仕掛ける動機が必要だ。

そのために、彼らは考えた。
どうしても婚約が邪魔で仕方がない。
ならば婚約を破棄させればいい。こちらからではなく、あちら側から。
そうすることで停戦の意思がないと判断でき、攻め入ることができる。


フランチェスカもレックスも知らないところで計画は進んだ。


「決して女王には知られるな」

一人の使いを走らせる。
戦争を起こさせるために、相手を侵略する口実を得るために。


婚約を潰そうと暗躍し始めた。