「前向きに検討しよう」
「ありがとうございます」
レックスの申し出は通った。
後にエリックとフランチェスカの婚約は成立し、彼女が成人となったときにフレイル国に嫁ぐことが正式に決まった。
「結婚だなんて……」
当の本人は顔を真っ赤にして照れているが、まんざらでもなさそうだ。
その様子がおかしくて少し笑う。
「何笑ってるの」
「いえ。幸せそうで何よりです」
「まあ、そう……ね。でも突然結婚を申し込むなんて、エリック様も変ね」
「一目ぼれでもなされたんじゃないですか? フランチェスカ様のように」
また、フランチェスカは顔を真っ赤にして照れる。
この婚約にレックスが関わっている事は伏せてもらった。
国を売るという行為はあまり知られてほしくないだろうというフレイル国からの気遣いだ。
というのは表向きで、一介の執事に勧められたなんて国のメンツが立たない。
つくづく王族というのはくだらない。



