王の死は国中に広まった。
指導者がいなくなり、混乱する国民。
数日後に、王の葬儀が国を挙げて行われた。
彼の死に涙を心から流す人間はどれくらいいるだろうか。
「……」
葬儀の間、フランチェスカは泣いた。
父の死に心から涙を流していた。
その姿が、レックスにとってはただただ不愉快だった。
ずっとその苛立ちが顔に現れるのをこらえ、はた目からは主人の死を悔やんでいるように見えただろう。
貴族の娘たちが遠巻きに伺うような目で彼を見つめていた。
葬儀が終わった夜、フランチェスカは部屋にこもっていた。
その部屋にレックスがノックもせずに入る。
「なぜ泣いたのですか?」
自分たち以外誰もいない空間。
その空間で、彼はあまりにもストレートに苛立ちをぶつけた。
「お父様が死んだのだから、泣いて何が悪いというの」
「泣く必要などありません」
ぴしゃりと言い放つ。
そんなレックスをフランチェスカは睨みつけた。
涙をためた充血した眼。
レックスは冷ややかにその眼を見つめ返した。
「あの男はあなたの父親じゃない」
包み隠す事もごまかす事もなく、事実だけをフランチェスカに告げた。
彼女の表情が固まる。睨みつけていた目に一瞬力が抜けた。
「本当の王女は死産だった」
「どういうこと……?」
ようやく絞り出した声は枯れていた。
驚くほどに唇ものども渇いていた。



