魔女と呼ばれた娘


「で、私はクビになるんですか」

謝罪から頭をあげて早々、失礼な発言。
王は少し眉を寄せるも、目を伏せた。


王国を滅ぼすと言ったこの危険因子は、国王の立場からすれば排除すべき敵。
しかし、

「私の一存では、それはできない……」

彼はこの城でとてもよく働いていた。
自分のみならず、他の使用人、家臣たちも、娘も、彼に全幅の信頼を寄せる。

元々の王族でない自分が勝手な判断でクビにできる人間ではないのだ。
それを分かっていて、レックスはそれを聞いてきた。


「でしょうね。……さて、それでは失礼させていただきます」

口元の笑みが消えないまま、レックスは退室した。


一人、部屋に残る王。
思いもしなかった事実が知らされた。


今まで信頼してきた執事が、恐ろしい人間だと知った。
人間は、憎しみによってあんなにも恐ろしくなるものだと知った。

彼なら、本当にこの国を滅ぼしてしまうかもしれない。
それほどまでに彼の表情、彼の闇は底知れない。



その後、王は体調を崩した。
医者を呼び寄せて治療を始めるも、その甲斐なく。


レックスはただ王を見下ろす。
なにもしなかった。王に何が起きているのかは知っている。

そのまま、レックスは容体が悪化する王を見ていた。


フランチェスカは王からのプレゼントを腕に抱き、部屋に閉じこもる。
初めての父からの愛情。だが、もう父には時間が残されていない。
その現実から逃げるように。


そして、王は死んだ。


レックスは王を見殺しにした。