「レックス?」
突然の変わりように王はレックスを見つめる。
レックスは王を一瞥した後に椅子を引き腰を下ろした。
「交換を思いついた侍女共と、兵を動かした大臣、それから駆り出された兵士。全員の名を言え」
「……どういう、」
彼の言葉の意味が分からない。
いや、分かってはいる。薄々は分かるのだが、しかしそれを認めようとはできないのだ。
「いずれ殺す」
「!」
初めて見せた顔。今までの温厚なレックスとは真逆の顔。
その眼は殺意と憎悪にぎらついている。
「レックス、お前はまさか……」
「……そうだよ。俺はあんたら王族の世継ぎの為に妻も娘も奪われた。
あの王女の父親だ」
言葉を王は詰まらせた。
その時、レックスの顔を改めて見つめ、さらに困惑した。
似ている。
髪の色こそ違うものの、粒子の細かい肌に、色気をもった紫の瞳。
かすかに笑う口元も、何もかもがフランチェスカと似通っていた。
だがしかし、15歳のフランチェスカの父親にしては明らかにレックスは若すぎる。
皺ひとつないその顔。若さにあふれたその姿。
死んだ王妃は当時25歳だった。それよりも、ずっと若く見える。
一体目の前の男は何歳なのだ。
「36になるな。あんたとは3、4歳くらいしか離れてねぇ」
また衝撃。
それから、レックスは語りだす。
妻、エルザの事。
奪われた娘の事。
王族に対する憎しみも。
復讐の為に王妃を殺したことも、
それから隣国へ渡り、正体を隠して王族に仕えたことも。
王族に頼んでこの国に来たこともすべて。
レックスがこの城に来た理由は、復讐。
彼はこの国を、壊すと言った。



