またさらに月日はたち、王女は10歳。
様々な学問を学び、立派な王族へと育てられていった。
それでも、王は彼女に関心を示さないようにしている。
親の愛を失って五年がたつ。
孤独により、フランチェスカはわがままに育っていった。
わがままにふるまうことで父の気を引こうとしていた。
そんな時に、彼女に転機が訪れる。
彼女の世話をするために、新しい執事が雇われたのだ。
隣国。ノワール王国の属国の王より紹介された男。
非常によく働く信頼できる人間らしい。
「初めましてお姫様」
にこりと彼はほほ笑んだ。
夜空に映える星のように煌めく白銀の美しい髪。
整った綺麗な顔をした若い男だった。
「……フン」
その容姿に見とれながらも王女は顔を背けた。
苦笑いをこぼす執事。
「レックスとお呼びください」
これが、見目麗しい執事とわがまま王女の出会いだった。



