それ以来、王は王女との接触を避けた。
娘ではないと知らされて、王女を避け続けた。
本当の娘ではないからだ。
父の愛情も母の愛情も、フランチェスカは5歳の時に失った。
結局、王妃の暗殺の事実は伏せられ、王妃は病により死んだとされた。
暗殺という事件に触発され、国民が反乱を企てるやもしれない。
王族の力を示すため。
暗殺の事実は闇に葬られた。
水面下では、フランチェスカの実父を血眼で大臣たちは探す。
いずれその事が王国中に知られれば、王族は破たんする。
それだけは避けねばならない事。
王族を、王家の血を続かせるために。
少なくとも、王家の血は受け継がれていると国民に信じさせるために。
王族を絶対的な物にすることが、自分の為でもあるから。
「汚い国だ」
そんな王国の状況を、男は吐き捨てた。
娘を奪ってまで王族の血筋が維持されていると装う。
その理由がバカバカしい。
結局は欲にまみれたものでしかない。
この国は腐っている。
どうして今まで気付かなかったのか。
「国を壊そう。この国を、滅ぼそう」
王国を滅ぼす種が、今この時、芽を出した。



