夫が家を空けた翌日。
ちょうど王妃は出産を終えたところだった。
しかし取り上げた侍女達の表情は暗い。
生まれた女児は、すでに息をせず、死産だったのだ。
顔を見合す侍女たち。
王妃は出産後に意識を手放し、気を失っていた。
長年子供が生まれない中でやっと生まれた子供。
しかし、それが死産だと知ったとき、王妃は深い悲しみに襲われるだろう。
王妃を気遣い、この子供の死をどう伝えるべきか、侍女たちは考える。
その時、恐ろしい考えがそこで生まれてしまった。
『赤子の交換』
王妃をごまかし、内密に子供を交換しようと考えた。
すべては王妃の為。
そのために選ばれたのが、この城で働く小間使いの娘。
あの宝石加工の妻であるエルザの生まれたばかりの娘だった。
早速大臣に事の運びを説明し、
大臣は兵を向かわせた。やっと授かった国の世継ぎ。
しかし死んでしまった世継ぎの娘。それの代わりとなる娘を得るために。
王と王妃には内密に、偽りの娘を奪いにいった。