お弁当を拾おうと階段を降りたら、あたしより先にリキがお弁当を拾ってくれた。


「……これ、花梨が?」


「うっ、うん。でも、落としちゃった……」


リキはナプキンについた埃を払い、あたしにお弁当を手渡してくれた。


「オレ、学食で食う約束してっから……」


そうだよね。リキにだって予定ぐらいあるよね。


お弁当勝手に作って、リキに重いって思われたくない……。


「あっ、気にしないで。こんなの、ちょいちょいっ!て簡単にできちゃうんだから。今日もね、気まぐれで作っただけだし」


精一杯の作り笑顔で、リキに笑いかけた。


「……あのさ」


さっきまで意地悪だったリキの表情が、少しだけ和らいだ気がした。


……だけど。