「井森が使い物になるまで、ゴールを守ってくれ」


シン…と静まりかえる控え室。


「ありがとうございます」

そんな中で、初めに口を開いたのは俊介だった。


「代わりだろーが何だろーが、ピッチに立てるだけでも嬉しいです。全力で守ります」


…俊介……。

本当は悔しいんだよね??

仕方ないとはいえ、頼られてるとはいえ、大輔先輩の言い方からすると俊介は時間稼ぎでしかない。


「じゃ、行くぞ??飛鳥はつらくないか??」

「大丈夫っす!!」

「よし!!後半は更に点入れて全国行くぞ!!!!」

「「おう!!!!」」


元気よくピッチに駆け出していく11人。


「円、晃、飛鳥、俊介、頑張れ!!」

「「ありがと!!!!」」

胡桃がとびきりの笑顔であたしたちを送り出してくれた。

「唯斗もね??円よりいっぱいゴール決めてね!!」

「おう♪見てろよっ」

…ふふ、相変わらずバカップル発揮してるし!!!!


そんな真のバカップルを横目に、視線の先を俊介へと変えた。


「俊介…」

あたしは少し丸くなってる俊介の背中に声をかけた。

「お、まーちん。どーしたの??」


ニッていつも通りの笑顔。


「く、悔しく…ない、の??」

言ってから、後悔した。こんな事聞いたって、俊介を傷付けるだけなのに…!!!!