“掴まってろよ”

それって…手繋ぐって事、だよね??

…いいの??


「ったく」

あたしが躊躇っていると、晃汰はグイッとあたしの手首を引っ張った。


「…っ!!!!」


そして、手のひらであたしの手を包んでくれた。


「馬鹿ー」

「は!?」

「アホー」

「ちょ、意味わかんない!!」


その手は凄く、温かかった。

晃汰の温もりが、晃汰の優しさが、じんわりと伝わってきた。


あたし駄目だ。

晃汰の事、好きになりすぎてる。


止めたくても、止まらなくなってる。


「あそこの流れるプール行こうぜ??」

珍しく元気な晃汰。

「ぶくく…子供か」

「あ、お前、パクりやがったな!?」

「えー??知ーらない!!!!」


楽しい。

晃汰の心の中の事がわかって、凄く楽しんでて…。


あたしの心は踊るばかりだった。


その影で、何が起きてるかも知らずに、ただ呑気にこの時を楽しんでいた。


「晃汰早く!!!!」

「うるせぇ亀!!」

「今亀なのは、晃汰でしょ!?」


こんなくだらない会話でさえ、数分前までは想像出来なかった。