私が小さいとき、両親が共働きだったこともあり、私はおばあちゃんの家に預けられていた。小学校からおばあちゃんの家に帰ると、「おかえり」といつもおばあちゃんが温かく出迎えてくれた。


私のおじいちゃんは私が生まれる前に死んでしまったらしく、おばあちゃんはいつも1人だった。


そんなおばあちゃんは私にいつも靴の話をしてくれた。


「ええか、鈴音。靴だけはケチっちゃいかん」

「どうして?」

「靴は履いている人を幸せの元へ連れて行ってくれるからさ」

「そうなんだー」

「かといって無駄遣いはいかん。汚れたらしっかり洗って、大事に使う事も大切なんじゃ」

「分かった!」


そういうと、決まって私の頭を撫でてくれたおばあちゃん。


そんなおばあちゃんは既に3年前、他界した。もともと心臓が弱かったおばあちゃんは発作を起こして、そのまま帰らぬ人となってしまった。


「幸せになるんだよ」その言葉を残して。