駿とこっくりさん、二人だけになった。

『こっくりさん、こっくりさん』
 駿は話しはじめた。

『いくつか質問してもいいですか?』

 カーソルは【はい】を指した。

『あっ、ありがと〜! じゃあ言うね!』

 駿はあくまでも笑顔で話す。
 だが、目は笑っていない。

『こっくりさんは、何が望みなの〜?』

 カーソルは文字を指していく。

【ひ】
  【と】
    【の】
      【こ】
        【こ】
          【ろ】
―――【人の心】

『へぇ〜っ、じゃああの本に書いてある事は本当だったのかな!?』

 あの本とは、知依に渡した本だ。

『こっくりさんの好物は、人の心』

 カーソルは【はい】を指した。

『しかも、憎しみや怒りの心を喰う』

 カーソルは【はい】を指したままだ。

『こっくりさんは、人の悪い心の塊――だよね?』

 カーソルは【はい】を指したままだ。

『その悪い心を取り除くと、こっくりさんは消える――そうだよね?』

 カーソルは【はい】を指したままだ。

『だから、僕がこっくりさんを消してあげるね』

 カーソルは【いいえ】を指した。