虐められたということはない。特に無視されていたわけでもない。


まるで珍獣を拝むように、私とクラスの女の子達は自然と距離をとっていた。


別に苦ではなかった。


元々男の子と遊ぶ方が好きだったし、女の子のグループに入るのは真っ平御免だ。


でも彼女は違った。彼女とだけは、仲良くなりたいと思った。


なぜ仲良くなりたいと思ったんだろう。なんで仲良くなったんだろう。


そう考える日々が徐々に増え、気付くといつも彼女のことばかり考えていて。


これが恋だと気づくのは時間の問題だった。


好きになった理由は今となってはわからない。昔のことだから思い出せない。


だけど恋愛感情なんて、きっとそんなものなのだろう。


気付いたら好きになってて。いつの間にか恋だと気づいて。


明確な理由などないのだろう。直感が働いた、といえばしっくりくる。