停留所でバスに乗って、家に向かう。
バスは人でいっぱいで座ることができなかったけど、雄悟先生が周りから守るように立っていてくれているおかげで安心できる。
でも……そのせいで雄悟先生との距離が近いし、繋いだままの手にドキドキする。
恥ずかしくて、俯く。
手汗とか、かいてないかな……。
怖さは全然無い。
ただ、目の前の雄悟先生にドキドキが止まらない。
やっぱり私、先生が好きなんだなぁ……。
好きだから、こんな風にドキドキする。
でも、雄悟先生はお母さんが好きで……。
考えて、ずきんと胸が痛む。
お母さんが好きなのに、どうして私にキスしたんだろう……。
普通、好きな人の娘にキスする……?
金森くんを追い払うだけなら、他にもやり方はあったような気がするけど……。
男の人は……雄悟先生は、好きな相手じゃなくてもキス、できるのかな……。
そんなの……私は嫌だよ……。


