ザーザーと、強く雨が降っている。



「うーわ、すごい雨。天気予報めっちゃ嘘つくじゃん」



愛夏が言う。

校舎から出た私と愛夏は生徒玄関で雨を見つめていた。



「今日、雨予報じゃなかったのにね」

「ほんと。折りたたみ傘持っててよかったよ」



私たちの手にはそれぞれ折りたたみの傘。

本当に持ってきておいてよかった。

愛夏がスマホを触りながら口を開く。



「うわ、このあと雷予報出てるよ! 南、大丈夫……?」

「雷……」



私は雷が大の苦手だ。男の人と同じくらい、苦手。

雷が鳴ると怖くて震えてしまって、動けなくなる。

今日からお母さんは出張でいないし頼れない……とにかく、雷が鳴る前に早く帰らなきゃ。



「大丈夫。雷鳴る前に帰るよ。じゃあね、愛夏」

「気をつけてね、南!」



手に持った折りたたみ傘を開いて、愛夏に手を振った。





電車の中は雨のせいか、普段より混んでいた。