「大丈夫か？なんか困ってるみたいだったけど」
つい、愛想のない声が出る。
「あ……ありがとうございました……」
女の子は小さくお礼を言って俯く。
ビクビクと怯えているようにも見える。
痴漢されてたとしたら……仕方ない、か？
つい、不躾に見てしまうが、俯いてしまった女の子の頭頂部しか見えなかった。
目的のバス停に着くと、女の子も同じバス停みたいで、先に降りていく。
俺もそれに続いて降りると、女の子が少しフラついていた。
「おい、大丈夫かよ、お前」
思わず声をかける。
「だっ、大丈夫です」
女の子はそう言って、振り切るように走っていってしまう。
なんだったんだ……？
そう思いながら、本来の目的である桜さんの家へと歩き出した。
