おしえてください、先生。


結局俺は、痴漢を捕まえるのではなく女の子を助けることを優先した。

俺と女の子の間にいる男たちの間から手を突っ込んで、女の子の腕を掴む。

ふんわりとした、強く握ったら折れそうな細腕を、できる限りそっと掴んで引っ張り出した。



驚いたように顔を上げた女の子と目が合う。

大きな瞳を不安げに揺らめかせた女の子は、近くで見るとより一層かわいかった。

華奢な体、色白で綺麗な肌、小さな顔にぱっちり二重の純粋そうな目。

髪の長さは肩より少し長いくらいで、ハーフアップにしている。

ヤバい……マジで、好きなタイプだ。



そこで、初めてセーラー服を着ていることに気がついた。

これは……桜花女学院中等部の制服……?

胸元の校章が、桜花であること、中等部であることを証明している。

この辺りでは有名な桜花女学院は、初等部から大学までエスカレーター式のお嬢様校。

さすが桜花……レベル高えな。

でも、桜花のオジョーサマと俺じゃあ、釣り合わなさすぎる。