桜さんは少し前に旦那さんと離婚し、その頃から副業としてここのスーパーのレジ打ちとして働き始めた人だった。

年は当然上だったけど、レジが暇な時はパン屋の方を手伝ってくれることもあり、明るく気さくな人柄にすぐに仲良くなった。



だけど、そんなある日、俺のバイトが学校にバレた。

働き始めて半年ほど経った、秋のことだった。

どこからバレたのかよくわからないが、大方学校関係者にうちのスーパーの常連客がいたのだろう。

いくら目元以外隠れていても、バレる時はバレるってことだ。



俺は校長室に呼び出され、指導を受けた。

自慢じゃないが成績も生活態度も良かったから、それだけで済んだらしい。

アルバイトは辞めること、もうしないことを約束させられ、俺はバイトを辞めた。



母さんは「仕方ないよ、雄悟は勉強頑張って。大丈夫だから」と言ってくれたけど、そういうわけにもいかない。

困っていた俺に、相談を持ちかけてきたのは桜さんだった。